大手メーカー製と工房系ランドセルの違い
ランドセルを購入しようと思った時に、まずどんなメーカーの商品を選べばよいのかという事を考えますが、ランドセルを製造しているメーカーは大きなメーカーから、2,3人で細々作っている小さな工房まで無数にあります。
よくメーカー系と工房系などと分けられていますが、分類の明確な基準があるわけではありません。ある程度の生産規模のところをメーカー、小規模のところを工房系と分けているだけです。
メーカーというと大規模な近代的工場で、製造ライン上の全自動の工作機械が製品を自動生産しているようなイメージがありますが、最大手のメーカーを含め全ての工程はほとんどが手作業で進められます。
大手メーカーになると、型抜きや刺繍入れなど一部全自動化されている工程もありますが、基本的な組み立てはミシン縫いになりますので、全て職人による手作業です。
一方の工房系と呼ばれる小規模のメーカーも、同じように全て手作業で職人がミシン縫いで組み立てていきます。行っている作業は同じようなもので違いはほとんどありません。
ただ、大手メーカーが工程ごとの分業制になっているのに対して、小規模工房ではセル生産方式のように1人の職人がランドセル1個をすべて一人で組み立てる仕組みになっています。それこそ数人でやっているような小さな工房はですね。
工房系と呼ばれるところでも土屋鞄のように中規模メーカー顔負けの3万本以上も生産しているところもあり、こうしたところは当然分業制の生産工程となっています。
したがって、メーカーと工房というのはイメージの問題であり、実際はこれという明確な基準があるわけではないのです。
大手メーカー製の特徴とメリット・デメリット
大きなメーカーのランドセルをを購入する最大のメリットしては、やはり品質が折り紙つきである点でしょう。いい加減な製品を作っていては大手のメーカーになり得ないわけですから大きなメーカーほど品質に心配は要りません。
大手メーカーといってもランドセルの製造方法は小さな工房とあまり変わらず、基本的には職人が手作業でミシンで縫い合わせて作り上げます。工房と大きなメーカーの違いは単純に職人が多いか少ないかです。
使用する人工皮革はクラレや帝人といった素材メーカーのものですし、背カンやダルマカンなどのパーツ類もメーカー内製ではなくパーツメーカーから購入したものです。つまり、大メーカーであっても小規模工房であっても、同じ素材を同じような工程で組み立てて作っているのです。
ただ、設計は大手メーカーのほうが先進的である例が多く、今や当たり前になった天使のはねに代表される肩と背中にフィットする立ち上がった肩ベルトの付け根や3D形状の肩ベルトなどは大手メーカーなら当たり前の機能ですが、昔ながらの工房系では採用していないところも多いのです。
昔ながらの古き良きランドセルを守っていますというと聞こえは良いのですが、実際は時代遅れの機能のランドセルにすぎないのです。機能性では最新鋭の設計の大手メーカー品にはかないません。
また、ランドセルの場合は、国内のある程度のメーカーでしたら必ず6年間保証が付帯しています。6年間保証のないランドセルは買うに値しません。6年の保証が付いていれば、意図的に壊さないかぎり、全ての破損を無料で修理してもらえますので、品質や強度などに関してはどれを買っても問題はないのです。
ただ、その保証はメーカーの提供しているものですので、使用する6年間の間にメーカーが潰れてしまったりしたら元も子もありません。その点は大手メーカーであればまず大丈夫でしょう。
工房系ランドセルの特徴とメリット・デメリット
上でも述べましたが、単純な機能性では大手メーカー製に軍配が上がります。同じような素材メーカーの素材を使って、同じような工程で作るのですから、小さな工房が大手メーカーに対抗できるはずがありません。
工房系の最大のメリットは、大量生産の大手メーカーではできないこだわりのランドセルを見つけることが出来るかもしれないという点です。
年間90万本前後と言われるランドセル市場において、最大手のセイバンと協和の2社でその半分ほどを製造しているとも言われています。大手のメーカー製ですと自ずと似通ったランドセルばかりになってしまいがちです。
ランドセルが個性的で目立つことが良いことか悪いことはさておき、最近は少子化で一人のお子さんに掛けるお金が増えていることもあり、少しでも良いこだわりの商品を持たせたいというご両親も増えてきているようです。
そういった時に本当に他と差を付けられる個性的なランドセルが大手メーカーの商品ラインナップにあるかというと、なかなか難しいところではあります。そこで探すのが小規模工房のこだわりのランドセルなのです。
上でも述べましたが工房系と嘯きつつも実際は中身は中規模メーカーであったり、少人数の職人の工房であっても作っているランドセルは大手メーカーと代わり映えしないものであったりと、工房系の名前負けのところもあります。
しかし、本当に情熱を持ってこだわりのランドセルを作り続けている工房があるのも事実です。宣伝などに力を入れていないために目立たず、顧客対応が職人気質で丁寧でなかったりする所が、本当に職人のランドセルを作っていたりということもあるわけです。
本当に個性的なこだわりのランドセルを望む方は、色々熱心に調べてこだわりの工房を見つけてみるのも良いでしょう。
こだわりの工房がある一方、価格訴求を売りにした工房もあります。人数の少ない個人商店のような工房であれば、会社を維持するのにも大きなコストの掛かる大手メーカーでは実現できない価格も実現できます。
保証面では、6年間保証は各工房が独自に付帯しているものですので、使用する6年間の間に工房が潰れてしまったりしたら元も子もありません。保証の面では大手メーカーにはかなわないでしょう。
ただ、大手メーカーの6年間保証が故意や過失の破損を無償ではなく有償修理にしているのに対して、一部の工房は故意を含む全ての破損を無償修理するなどの手厚いサービスを提供しているところもあります。
こういった独自の手厚いサービスを付加して差別化している工房もありますので、こういった点は注目するべきです。つまり、製品の独自性であったり、サービスの付加であったり、イメージ戦略であったり、大手メーカーとは違う独自の差別化を行っている小さなメーカーが工房系なのです。
ズバリどちらがおすすめ?
上でもさんざん述べてきましたが、どちらが良い悪いというのはありません。他に差をつけるこだわりの商品を望むのなら工房系をくまなく周って比べてみるのも悪くはありません。
ただ、特にこだわりはなく、日本製で機能のしっかりしたものを確実に選びたいというなら大手メーカー製でしょう。品質に外れがありませんし、近くのイオンやヨーカドーなどの量販店や街の鞄屋さんで販売されています。
もちろん品質を心配することがないため、安く売られているネット通販で購入するのもおすすめです。実際に目で確認しないと何とも言えない小さな工房のランドセルとは違って、大手メーカーのブランドが付いていればネットで購入しても安心です。
また、こだわりがなくどれを選んで良いのかわからないという方は、大手メーカー製のランドセルの中から売れ筋モデルを選んでおけば間違いありません。
市場に出回る全ランドセルの半分以上を上位3社で作っているのです。この大手三社、セイバン、協和、ハシモトの売れ筋モデルにしておけば外れはありません。多くの皆が持っているものですから無難な選択肢です。
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